この記事では太陽光用地買取の流れと査定ポイントについて解説いたします。
私たち、川越住宅設備では大きく以下の3つの査定ポイントを重視し、群馬県を中心に北関東地域で太陽光発電所開発のご提案と工事を進めております。

  • 1000㎡ほどの広さがある平地
  • 雑種地に転用できる土地
  • 4m道路と接していて、近くに電柱がある

また、5年ほど前であれば、電力の買取単価が高く、転用できる土地であれば坪6000円以上で買取提案ができましたが、買取単価の低下と共に、土地の買取査定も下がっており、現在(2021年)は坪3000円ほどでのご査定となることが多いです。

今後もこの傾向が続くと見ており、管理にお悩みの土地がございましたら、お早めにご相談することをお勧めしております。

Contents

土地の査定の流れについて

弊社では以下の流れでご相談から査定までを行っております。
最短で、お問い合わせいただいてからおよそ10日から15日でのご回答となります。
また、査定を円滑に行うためにも、土地の住所や地目など記載された書類をご用意いただけると助かります。

  1. 弊社事務局へのお問い合わせ
  2. 該当の土地の住所などの確認(お電話またはメール)
  3. 土地番地から法令や条例の調査・確認
  4. 現地調査日程のご連絡(弊社からお客様へご連絡)
  5. 現地にて日照条件や近隣環境の確認
  6. 土地の査定結果のご連絡

土地の法令や条例の調査について

弊社では土地の査定を行うにあたり、
「事業計画策定ガイドライン(太陽光)」
「再生可能エネルギー発電事業計画における再生可能エネルギー発電設備の設置場所について」
「太陽光発電の環境配慮ガイドライン」
上記3つをもとに、土地の査定と条例調査を行います。

細かい項目の解説は以下にまとめていきますが、法律や条例の規制に該当しない区域の土地は、買取や賃貸の提案時に査定価格が高くなります。
逆に、条例があるため、土地の広さや条件は良いけれど、開発許可がおりずにお断りする場合や、開発までに長期間お待ちいただく場合がございます。

検討している土地がどのような条例の影響をうけるのかを以下の記事で確認し、今後にお役立ていただけると幸いです。

資源エネルギー庁(外部サイト)

事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)

再生可能エネルギー発電事業計画における再生可能エネルギー発電設備の設置場所について

環境省(外部サイト)

太陽光発電の環境配慮ガイドライン

農振法(農業振興地域の整備に関する法律)について

次に解説する農地法と併せて、農地の開発・転用を規制する法律で、農業の振興を図ることが必要とされる農業区域を保護するための法律です。

この法律では、都道府県が農業振興地域を指定し、農業振興地域整備計画を策定し、土地改良などを行います。主に、市区町村の「農政課」や「農振課」が担当の窓口となります。
保護の対象区域は原則、農地以外へ土地を活用することができないため、太陽光用地としての買取ができません。

農業振興区域に入る農地を「農振地域」、または「青地」と呼び、区域外の農地を「白地」と呼びます。
農振地、青地と指定される区域は原則、農地以外への土地活用ができないため、太陽光を行う場合はソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)のみとなります。

農振地域を外す、「農振除外」の見込みがあれば、発電所としての買取をご提案いたしますが、「除外申請」の手続き上、申請から結果が出るまで、1年以上の期間がかかります。

農林水産省(外部サイト)

農業振興地域制度について

農地法について

上で解説した農振法と併せて、農地法は農地の開発・転用を規制する法律です。
この法律では農地の権利や使い方などのルールを定めており、土地の所有権移転や転用などがある際には、農業委員会の許可が必要となります。
農地法で制限がかけれている土地は農振法と同様に、農地以外へ土地を活用することができないため、太陽光用地としての買取ができません。

農地法では、田や畑といった地目ではなく、一種・二種等で農地を分類します。
二種農地や三種農地であれば、農地以外への転用が見込めますが、それ以外は制限がかかります。また、農地法上では転用が見込めても、農振法の規制が別にあり、農振法、農地法、あわせての条例確認が必要となります。
そのため、農振法で農業振興地域外かつ、農地法で二種農地といった条件が揃わないと、農地の買取はできません。

弊社では、転用見込みがない農地については、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を計画し、興味のある農業法人を斡旋し、農地を移転することをご提案しております。

農林水産省(外部サイト)

農地制度について

森林法について

「森林法」は森林の保護や森林生産力増進を図るため、森林計画、保安林の指定など具体的な手続きや罰則などをまとめた法律で、林野庁の元、都道府県の森林保全課などが管理しております。
森林や林業に関わる基本理念や方向性をまとめた「森林・林業基本法」に対し、実体法として運用されております。
土地の謄本に「保安林」と記載されている場合と保安林であっても「山林」とされることがあり、都道府県の確認が必要となります。

お持ちの土地が森林法によって保安林とされると、転用・開発ができないため、弊社では買取・賃貸のご提案ができません。

一般社団法人全国林業改良普及協会(外部サイト)

森林所有に関わる制度

群馬県(外部サイト)

地域森林計画の対象森林

河川法について

河川法は地域の環境保全や流水機能の維持ルールを定めた法律です。
該当の土地の近くに河川がある場合、河川区域、河川保全区域、河川予定地に該当するかを確認し、その上で、「一級」「二級」「三級」「準用河川」「普通河川」の5つ分類を調べます。
それぞれ担当課が異なるため、「一級は国土交通省」「二級は都道府県」「準用河川と普通河川は市区町村の担当課」に対し、該当の土地が河川区域内にあるか確認します。

河川区域内の場合は工事・開発が可能か、または許可が得られるかが重要となり、保護区域の土地に該当する場合は、買取・賃貸のお引き受けができません。

国土交通省 河川法(外部サイト)

手続き一覧(河川法)

群馬県 高崎土木事務所(外部サイト)

河川法に関する申請

海岸法

海岸を防護するとともに、海岸環境の整備と保全及び公衆の海岸の適正な利用を定めた法律です。
該当の土地が「海岸保全区域」「一般公共海岸区域」に該当するかを海岸管理者に確認します。管理車は、都道府県知事が指定した海岸保全区域は都道府県知事、それ以外の区域は市町村長が管理者となります。

保全区域に該当する土地の場合は、工事にあたり、申請・許可が必要となり、太陽光発電所の開発にあたり追加工事が発生することがあります。
その場合、土地の買取・賃貸のお引き受けがコスト的にできない場合がございます。

国土交通省

改正海岸法について

砂防法

砂防法は豪雨等による山崩れ、河床の浸食等の現象に伴う不安定な土砂の発生、及びその流出による土砂災害を防止することによって、望ましい環境の確保と河川の治水上、利水上の機能の保全を図るための法律です。

該当の土地が「砂防指定地」に該当するかを都道府県の担当課に確認し、許可の必要を調べます。
砂防法で「砂防指定地」に指定されると、一定の開発・工事に制限がかけられるため、砂防指定地の土地のお引き受けができない場合がございます。

国土交通省(外部サイト)

砂防指定地域について

砂防指定地の解説

群馬県(外部サイト)

砂防指定地とは

地すべり等防止法

地すべり等防止法は、地下水等により発生する地すべりによる崩壊被害を防止するため,リスクの高い地域に、一定行為を制限するとともに必要な施設等を整備するための法律です。
地すべり防止区域に該当するか、所管の県土整備事務所長に確認し、該当する場合はどのような制限が発生するか、または申請内容を調べます。
規制の内容にはよりますが、災害リスクを考慮し、地すべり防止区域に該当する土地に関しては、お引き受けを断ることがございます。

国土交通省(外部サイト)

地すべり等防止区域の解説

群馬県(外部サイト)

地すべり等防止法

急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律

上記の「砂防法」と「地すべり等防止法」と併せて、土砂災害を防止するための法律です。崩壊のおそれのある急傾斜地(30 度以上)で、崩壊により相当数の居住者等に危害が出るような区域を「急傾斜地崩壊危険区域」と指定し、その使用を制限します。

該当の土地が「急傾斜地崩壊危険区域」に入るかを各都道府県の土木事務所に確認をしますが、該当する場合は太陽光発電の継続リスクが高いため、区域内の土地のお引き受けはお断りしております。

国土交通省(外部サイト)

傾斜地崩壊危険区域の解説

群馬県(外部サイト)

急傾斜地崩壊危険区域

景観法

群馬県では景観条例によって、赤城・榛名・妙義の上毛三山をはじめとする山々や、利根川に代表される豊かな清流、そして城下町や宿場の面影を残す古いまちなみや温泉街など歴史や伝統を感じさせる景観を守っています。

該当の土地がそうした景観条例の規制をうけるかを自治体に確認します。
景観条例による規制をうける場合、設置する発電所の高さや色などの指定を受けることがありますが、開発自体に大きな影響を与えることは少ないです。
メガソーラーなど大規模な開発となる場合、規制をうけることが多いです。

群馬県(外部サイト)

群馬県景観条例

都市計画法

都市計画法は都市の発展や整備に対し定めれれた法律です。
太陽光発電所は建築物に含まれないため、制限は少ないですが、大規模な発電所開発において、制限がかかります。
該当する土地が都市計画法上、どの区域に分類されるのかを、各自治体に確認し、「開発許可」など必要な申請を確認します。
場合によっては、開発のための追加工事が発生するため、規制をうける場合、買取や賃貸の査定が低くなることもございます。

群馬県(外部サイト)

都市計画法:開発許可制度の手引き

都市緑地法

都市緑地法は緑地の少ない都市部において、緑地の保全や緑化の推進のためのルールを定めたものです。
都道府県知事が保全すべき区域を以下の3つに分類し、各自治体で管理します。
指定緑地保全地域(りょくちほぜんちく)
特別緑地保全地区(とくべつりょくちほぜんちく)
緑化地域(りょくかちいき)
(上記とは別に緑地協定(りょくちきょうてい)を定めている地域もあります。)

指定地域内においては、建築物その他の工作物の新築等、宅地の造成、木竹の伐採等を行う場合、一部例外を除き許可が必要となるため、該当の土地が保全区域に入るかどうかを市区町村に確認し、許可と制限の内容を確認します。
調査した結果、対象の土地がいずれかに該当する場合、制限の内容次第では売買や賃貸をお断りする場合もございます。

群馬県(外部サイト)

特別緑地保全地区制度

文化財保護法

文化財保護法は遺跡保護を目的に定められた法律で、該当区域内の開発・工事では、事前の調査や立ち会いなどが必要となります。
そのため、該当の土地が保護区域に入っているかを自治体等の教育委員会に確認し、保護区域に該当する場合は、試掘や発掘費用と調査にかかる期間を確認します。

簡易な調査や立ち会いですめば、太陽光発電所の開発に大きな支障はでませんが、重要文化財などのお宝が出てしまうと、保護費用と時間の問題で採算が合わなくなるため、土地のお引き受けをお断りすることがございます。

群馬県(外部サイト)

開発時の埋蔵文化財取扱い手続きについて

文化財関係法令・要綱等

自然公園法

自然公園法とは日本のすぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図り、国民の保健、休養および教化に資すると共に、生物の多様性の確保に寄与することを目的とする法律で、以下の3つに公園を分類しております。

国が定める「国立公園」
国立公園に準ずる「国定公園」
都道府県が定める「都道府県立自然公園」

上記の地域・地区内で工作物の新築・改築・増築等をする場合は、原則として、国立公園内は環境大臣、国定公園内は都道府県知事の許可が必要とるため、売買の対象となる土地が、保護区域に該当するかを確認します。
保護区域内の土地で、開発制限が厳しい土地に関しては、お引き受けをお断りしております。

群馬県(外部サイト)

自然公園内の行為規制(自然公園法ほか)

鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律

鳥獣保護管理法で指定された鳥獣保護区は、環境大臣が指定する国指定鳥獣保護区と、都道府県知事が指定する都道府県指定鳥獣保護区の2種類があります。
環境大臣又は都道府県知事は、鳥獣保護区の区域内で鳥獣の保護又はその生息地の保護のため、特に必要があると認める区域を特別保護地区に指定することができます。
鳥獣保護区内においては、狩猟が認められないほか、特別保護地区内においては、一定の開発行為が規制されます。

該当の土地が上記の区域に入るかを確認し、制限内容を確認しております。
保護区域内の土地で、開発制限が厳しい土地に関しては、お引き受けをお断りしております。

環境省(外部サイト)

鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(PDF)

鳥獣保護区域制度の概要

自治体の再エネ条例

上記以外に、自治体独自で行っている条例がございます。
近年になり、地域の実情に併せた発電所の建設・管理ルールを設ける自治体が増え、該当の土地が制限区域や制限条件に含まれるかどうか、どのような規制があるかを確認します。
こちらも、区域内の土地で、開発制限が厳しい土地に関しては、お引き受けをお断りしております。

一般財団法人地方自治研究機構

太陽光発電設備の規制に関する条例

現地調査で行うこと

お問い合わせいただいた住所から航空写真、謄本や公図を取得し、土地の広さと形、向きを事前に確認し、現地調査では、境界杭など隣地との境界の確認を行います。
弊社では、「太陽光発電所としての土地評価」となるため、該当の土地で最大限発電した場合の電力量をもとに、価格を計算しております。
そのため、同じ広さの土地でも三角形の土地よりも、四角形の土地の方がパネル設置数が多くなるため、査定価格が高くなります。
また、制度の兼ね合いで1000㎡位の大きさや3000㎡以上の土地は価値が高くなります。

その他、現地にて確認することは以下の内容です。

土地の境界の確認

該当の土地の範囲を確認します。
土地に境界杭があれば、位置を確認しますが、杭がない場合は地権者様と隣地の地権者様に現地にて確認を行います。
農地の場合、境界杭などの印がないことが多く、自治体所有の土地と面している場合は、測量をする必要が出てくることがあります。

接道の有無の確認

現地にて該当の土地が面している道路状況を確認します。
資材の搬入や完成後のメンテナンスのため、太陽光発電所の開発には4mほどの幅の道路と面していることが必要です。接道がない場合は、道を造る必要があり、その費用分が土地の査定に影響します。
農地の関係で道を確保できない場合は、開発行為ができないため、お引き受けできない場合もございます。

電柱への距離を確認

接道の確認と同様に、一番近くの電柱標識と距離を確認します。
電柱への距離が遠いと、発電所開発に必要な系統連系の費用が高く、土地の査定に影響します。一般的には60万円前後の工事費用になることが多いですが、あまりに電柱から遠いと400万以上の費用となり、土地のお引き受けをお断りすることがございます。
土地の隣に電柱がある場合、土地の査定も高くなります。

土地の形状を確認

土地の形状、傾斜や雑草や岩の有無などを確認します。
太陽光発電所の場合、平坦かもしくは南に向かって傾斜している土地の発電量が高くなります。逆に北に向かって傾斜していたり、起伏が激しいと造成工事が必要となり、買取価格が低くなってしまいます。
また、雑草程度であれば査定に影響はありませんが、木が多いと伐採と抜根、処分に費用がかかり、同様に買取価格が下がります。
すぐにでも、発電所工事ができる状態であると査定価格が高くなります。

隣地の状況を確認

最後に、該当の土地の隣地の状況を確認します。
影を作る建物や木がないか、発電所を建設することで隣地に影響を与えないかなど確認します。特に、住宅が近くにある場合はパネルの反射光がどのように拡散するかを確認します。また、該当の土地が農地の場合は、発電所設置にあたり営農に支障を与えないかなどを事前に確認します。

まとめ

以上、私たち川越住宅設備が行っている土地調査と査定についての解説でした。
お問い合わせからお時間をいただいておりますが、土地の買取については、上記の条例調査を行いご回答しております。

弊社ではガイドラインに沿った太陽光発電所の開発を行っております。
草刈りなど、管理にお困りの土地がございましたら、太陽光用地としての土地活用をご検討ください。